今お店で出している「命薬(ぬちぐすい)ぎょうざ」のルーツです。
僕の心の友に西原という仲間がいます。
ずっと一緒に遊んできたし、何の気兼ねも無く相談も出来る家族の様な彼です。
彼の実家は昔、中華料理屋さんをやられていて、その後、焼肉屋さんになりました。
僕は、中華料理屋時代を知らないのですが、知っている人に聞くとそれは大変繁盛したお店だった様です。
自分が右も左も分からなかった若い頃に、彼の家に遊びに行くと、お父さんが「くろちゃん!何でもいいけど本気でやらないかんよー!」
と口癖の様に言ってくれたものです。
ある日、当時デザインの学校に通っていた自分に
「くろちゃん!時間のあるときに駐車場の白線を引いてくれる?」
とお父さんに言われました。
時間は沢山ある自分は、好奇心も混じって、楽しく白線を引きました。
そしたら、お父さんが
「今日は生ビールも肉も好きなだけ食べてって!!」
と言ってくれました。
僕は生大を片手に、肉を食べてさせて頂きました。
僕はそんなに焼肉には詳しく無いのですが、その時に頂いた良い部分のハラミの美味しさといったら!!
旨すぎて死にそう。
今思い返しても、昨日の事の様に思えます。
味の記憶は鮮明なのですね。
そんな肉を食べさせてくれた基資(もとし)さん。
肉屋さんが配達に来た時も肉が気に食わないと、怒鳴り散らして、美味しいものを持って来させていた基資さん
そんな姿もよくある西原家の光景でした。
言い出せばキリがない位、そんな話しは沢山ある西原家なのです
そんな基資さんも、不治の病で若くして亡くなりました。
短く太く。
恐縮でありますが、そんな言葉の通りの人生だったと勝手に思っております。
その基資さんが亡くなられる前によく作っていて、僕も何回も頂いた餃子があります。
それも大変美味しい餃子で。
自分の父も喜んでいた餃子です。
下町餃子はこの基資さんの餃子がベースです。
基資さんの奥様に一から教えて頂きました。
半端では無いお気持ちを継がせて頂いています。
餃子は、その字からも交わる子供と書いて、
発祥中国では、縁起物として普段の生活に欠かせないものであります。
基資さんから引き継がせて頂き、自分達のアレンジも加えて研究を続けています。
8種類の国産野菜が入った「身体をつくる、美味しい点心」のコンセプトのもと作っている餃子です。
尊敬させて頂く先輩の結晶を、
少しでも自分達なりのやり方で表現させて頂く事が出来たら、と思っております。

西原、また美味しいお酒を呑もう。
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